「リトアニア共和国」シルクロードを放浪した2006年の旅行記

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リトアニア(2006/06/25)

ツェースイスは別な意味で危険な場所だ。本当に沈没(居心地が良いので長期滞在してしまう事)していた。ダラダラと延泊し続け、なんと8泊もしてしまった。当初の予定では2泊だったのに、恐ろしい。累計4度も延泊申請したので、ホステルの受付のおばちゃんも呆れ顔になっていたほどだ。ここまで沈没状態になったのは、旅行に出てからココが初めてだ。ヨーロッパ特有のノンビリした田舎町の雰囲気に、残された中世の町並み、自炊が出来た事による食費の安さ、ホステルの安さで、毎日観光する訳でもなく、ぶらぶらと散歩したり、カフェでボーっとしたりして一日を過ごしていた。このままではマズイと、目が覚めたように、ようやく先日に気がつき、堕落した体に鞭打ち、今日は再びリーガに戻る事にした。

バスで2時間の距離にラトヴィアの首都リーガがある。たったそれだけ、すぐ近くでいつでも戻れるという気持ちが、余計にダラダラと長居をしてしまったのかもしれない。バルト三国のバスは時間に正確だ。アジアから来たから余計にそう思うのかもしれないが、キッカリ2時間後の14時にリーガに到着した。
普通なら、ここでリーガで泊まっても良いのだが、予想外にツェースイスに滞在したので、ラトヴィア貨幣の"ラッツ"が残り少ない。あまり余裕が無いので、今日中にラトヴィアを抜けて南下してリトアニアに入ろうと思う。バルト三国は小さい国同士なので、お互いの首都間は5,6時間もあれば着いてしまうのだ。リトアニアの首都ヴィリニュスまではリーガからバスだと4時間半で事足りる。17時発の国際バス・ヴィリニュス行きの切符を購入してから、出発時間まで今日で三度目の勝手知ったるリーガの街を散策した。何度見ても、新旧が一体となった不思議な街だ。何十年後かに再び訪れたとしても、おそらくこの街は同じ姿で迎えてくれるだろう。

出発までに、きっかりとラッツを使い切って、国際バスに乗り込む。バルト三国でも国境での入国審査というものは形骸化されているが一応ある。管理官がバスに乗り込んで、パスポートチェックをするだけだ。EU諸国の人は、パスポートを見せるだけで済むが、僕らはパスポートを持っていかれて、入国スタンプを押してもらえる。しかし出国スタンプは押してくれない。残念。

リトアニアの首都ヴィリニュスヴィリニュスの教会バスは21時30分にリトアニアの首都"ヴィリニュス"に到着した。エストニアの首都"タリン"ほど緯度が高くないので、白夜とはいかないが、夜10時に近いというのに、まだまだ外は明るく、街は夕焼け色に染まっている。
ヴィリニュスの街並みそれにしても街自体の様子が、リーガやタリンと比べて大分変わったように思える。リーガやタリンは港町だが、ヴィリニュスは内陸に位置する。そういう違いもあるがそれ以上に、歴史上ヴィリニュスはドイツ商人に支配されたハンザ同盟の都市ではないからだろう。ここでは天を突くようなゴシック教会の高い塔はあまり見当たらない。また、裏路地が多く、薄暗いので夜出歩くのは危なそうだ。徹底的に整然とした雰囲気を持っていたリーガやタリンとは対照的に、バスで着いて駅前からヴィリニュスの街を見たとき、少し混沌とした印象を受けてしまった。なんとなくイタリアに似ているような気がする。古代中世都市なのに、生活感がたっぷり出ている街並みがそう思わせたのだろうか。

トゥラカイ(2006/06/27)

今日はポーランドに向かう。ようやくバルト三国を離れて東ヨーロッパだ。ポーランドへは夜10時発の夜行バスで行くので、それまでたっぷりと時間がある。ヴィリニュスの近郊に"トゥラカイ"という場所がある。そこはリトアニアの旧首都で、赤レンガの古城が湖に浮かぶ美しい景観の地。駅にバックパックを預けて、バスの出発時間までトゥラカイに足を延ばそうと思う。

トゥラカイへは、ものすごい鈍行の鉄道で行った。平均時速はワザと20kmくらいしか出さない不思議な路線だ。なのでヴィリニュスからはそんなに離れていないはずなのに、一時間もかかってしまった。バスで行けばここまで遅くはないんだろうが、リトアニア通貨の所持金が残り15リタス(630円)しかないので、安い鉄道しか選択の余地が無い。

トゥラカイの古城トゥラカイは森と湖に囲まれた自然公園の様相を成している。水も綺麗で、湖水浴をしている人やセイリングする人など、休暇を楽しむ地元の人達で溢れている。湖には多数の小島があり、それぞれが浮き橋で繋がっていたりして、水面にふわふわ浮いている橋をバランス取りながら歩いていくだけでも面白い。古城は小島の一つに島の面積のほどんどを占めて建っているので、まるで湖に浮かんでいるようにも見える。なかなか遠くから見ると乙なものなのだが、近くでみると修復が新しく、中世の雰囲気とまではいかない。それ以前に、僕らには入城料を支払うお金も持ち合わせていないので、城の外をぐるっと一周するだけで満足するしかなかった。