「中華人民共和国編(北京)」シルクロードを放浪した2006年の旅行記

「中華人民共和国編(北京)」シルクロードを放浪した2006年の旅行記の画像

移動した先は(2006/04/05-06)

中国の首都"北京(ぺきん)ベイジン/Beijing"へ向かう。平遥からは北京へ直接バスも鉄道も走ってないので、いったん山西省の省都"太原"に乗り合いバスで行く。
太原へは一時間半ほどで到着。太原からは北京行きが頻発しているらしく、北京行きのバスの客引きからしつこく誘われた。しかし、僕らは鉄道で向かおうと考えていたのでスルー。歩いて、5km先の太原駅へ向かう。駅で時刻表を見ると北京へは10時間前後かかる。夜出発の分に乗ると朝に到着できる、逆に朝出発すると夜に到着になってしまう。北京に着いたらすぐに宿探しをしなければならない僕らにとって、朝に到着する方が都合が良い。上手い具合に今夜出発の硬座切符が売り切れていなかったので購入。73元(1,100円)またまた、垂直な椅子に人と向かい合わせで足も伸ばせない状態での夜行列車となる。

21:40発の列車なので、出発まで後6時間、時間を潰す。駅前辺りを見ると、ケンタッキーやマクドナルドがあったので、2ヶ月ぶりにファーストフードを食べることにした。マクドナルドでは10元(150円)でセットメニューがあった。安いし味も変わらない。やっぱり外資系は中国といえど店内はきちんと綺麗に掃除されていて清潔。荷物が重くあまり歩きたくないので、店にずっと居座って時間を潰した。

21:00頃になったので、駅に向かう。ここ最近、中国の鉄道は何度も経験しているので、慣れたもんだ。普通の中国人よりも多く乗ってるかもしれない。早くから改札前に長蛇の列が出来ていたが、僕らはその隣の改札も開くことを知っていたので、ガラ空きの改札の方へ並ぶ。案の定、改札が両方開いたので、一番早く座席へ着いて、荷物置き場を確保出来た。

翌朝6時、北京西駅に到着。ムチャクチャ寒いっ!温度計を見ると4月というのに気温は7度。寒い上にやっぱり硬座ではほとんど眠ることが出来なかったので、すでに体力が消耗している。かなり眠いので、早く宿を見つけて休みたい。宿の集まってそうな場所に目星をつけ地下鉄で移動。地下鉄は3元(45円)
地下鉄を降りて、早速足で招待所を探す。ぐるぐると2,3時間ほど北京の街を練り歩くも、まったくといっていいほど、招待所が見つからない。少し値段が高くてもしょうがない、HOTELでもいっかと、ちょうど目の前にあった古臭く安そうなHOTELに入って、値段をフロントで聞いてみると、驚愕。なんと一泊300元(4,500円)もする。信じられない!地方のHOTELの3倍以上の値段だ。ほかにもHOTELは沢山あるが、そのほとんどがリゾートホテル並に巨大な外観で、一泊$100以上はしそうだ。そんな所で泊まっていると、10日もしない内に予算が無くなってしまう。リーが「ここらは見当違いやったなぁ、また地下鉄で別の場所に移動しようや」と言うが、僕は「向こう側の通りに、ボロい建物が集まった場所が見えたから、もしかしたらそこに招待所があるかもしれん。行ってみようぜ」ということで、長時間の歩行と重いバックパックで、両肩が悲鳴をあげだしていたが、その場所に一筋の希望をもって、再び歩き始めた。

下町風の場所を徘徊していると、神様ありがとう!あんなに探しても無かった招待所が見つかった。喜び勇んで、フロントのおばちゃんに「今夜泊めて」というと、なんと「ここは中国人だけしか泊まれないのよ。」と言われてしまう。「どうしても駄目ですか?」としつこく嘆願すると、「ここは宿泊場所が地上じゃなくて地下なんだけど、いいの?」さすがに一週間ほど、北京に滞在する予定で、一週間も地下での生活だと気が滅入ってしまうので、ここは止めといた。他にも招待所が数件見つかるが、そのどれも地下だったり、そうじゃなくても外国人は駄目と取り合ってくれない。どうやら北京市自体の政策が招待所を外国人に開放してないようだ。中国人でも会員証がないと泊まれないらしい。
これは高くても強制的にHOTELで泊まるしかないようだと諦めかけていた時、ふとユースホステルの看板が目に付いた。これこそが天の助け!再び喜び勇んでユースへ。「一週間泊まれますか?」と聞くと、フロントのお姉さんが「一週間、空いてる部屋はあるんだけど、その部屋の上階の部屋を工事するんで、五月蝿くて眠れないよ」と言われ再び地獄に叩き落される。「他にも近くにユースがあるから、話つけておくから、"兆龍飯店"というHOTELに行ってごらん」とわざわざ、途中まで道案内してくれた。

少し道に迷いながらも、着いた先はリゾートホテルの様相をした巨大HOTELだった。(絶対おかしいだろ?違うよここは)と思いながらも、入り口に入っていくとドアマンに呼び止められて、「May I help you ?」と言われ、自分達の場違いさに戸惑ってると、「ユースホステル?」と向こうから言ってきた。そうだ、僕らはどこから見てもバックパッカーにしか見えない。どう見ても、リゾートホテルに泊まるような身なりではない。ドアマンは「ユースならこの裏にあるよ」と教えてくれた。
裏に回ってみると、なるほど、兆龍飯店と併設した所に小さくこじんまりとしたユースホステルがあった。値段を聞くとユース非会員で一人一泊80元、会員だと70元だった。僕らは日本でユース会員になっていたので、70元(1,050円)で泊まることが出来る。一人で25元前後で泊まれた招待所と比べるとムチャクチャ高いが、HOTELよりは断然安いので、ここを拠点に一週間北京に滞在することに決めた。

ユースの部屋に入ったのは午後2時だった。北京西駅に到着してから、なんと8時間も重いバックパックを背負って歩き回ったことになる。疲労と睡眠不足でさすがに倒れそうだが、それ以上に胃が空腹を訴えていたので、寝る前にまずは昼食を取ることにした。この宿泊場所周辺は苦労した甲斐があって、なかなか便利がいい。すぐ近くに百貨店があり、買い物や食事処に困らない。そこには珍しく、日本食のレストランがあった。日本を出て2ヶ月経った僕らはそろそろ日本食が恋しくなってきた頃だったので、迷いも無くそこで飯をかき込む。日本のラーメンと、親子丼定食、豆腐の定食。美味しいとは言えないけど、大衆食堂並には再現されていたので、十分満足できるレベルだった。
その後、食料品売り場に行き、水やお菓子を購入。驚いたことに日本の商品を直輸入しているのが多く、陳列している商品棚には日本語が溢れかえっている。そして値段も日本と変わらない。どうやら北京の住民は中国の地方と比べると段違いに裕福そうだ。
部屋に戻ってもまだ日は明るかったが、ハードな移動を続けて、体力の限界を超えていた僕らは倒れこむように眠った。

大熊猫(パンダ)(2006/04/11)

パキスタンのフンザに行きたい!5年前に中国・新疆ウイグル自治区に行ったとき、ドミトリーで一緒になった人から聞いて、その時初めて知った場所。宮崎駿のアニメ"風の谷のナウシカ"の風の谷のモデルになった場所らしい。春はアンズの花が咲き、まるで桃源郷の様だと言う。時期はバッチリだ!是非行ってみたい。行きたいよフンザ!ということで、北京でパキスタンビザを取得することにした。

申請には日本大使館のレターが必要とのことなので、昨日の時点で日本大使館領事部に行ってレターは取得済み。それを持って、今日は火曜日、朝9時頃にパキスタン大使館に行くが、何故か大使館前は人気がほとんど無い。門の前に居たおっちゃんに聞くと、「今日はホリデーだ。明日10時に来て」と一蹴された。出た!イスラムの休日。

予想外の事で、やることが無くなってしまったので、変わりに今日は北京動物園にパンダを見に行くことにする。しかし、連日の歩き続けの為、昨日から足が痛いと言っていたリーは部屋で休むことになった。ひとりで動物園に行くことになる。まあ野郎二人で行っても仕方の無い所だけに、それも良いかもしれない。

北京動物園の大熊猫(パンダ)さすがに北京に来て5日目になってくると、交通にも慣れたもので、動物園へは地下鉄やバスに乗っていくとすぐに着いた。入園料は20元(300円,パンダ館含む)
動物園に入るとメインのパンダ館はすぐ目の前にあった。平日だからだろうか、さほど人もいなくて、ゆっくりとパンダを観察することが出来た。生まれて初めて直にパンダを見たけど、予想以上に変な生き物。全身の力を抜ききった、やる気の無い動きはまるで、休日にやる事が無くて、家でゴロゴロしているおっちゃんを見ているような感覚。全身からダリぃ~なオーラを出している。まあそれが可愛いんだろうけど。

動物園を出ると近くに"吉野家"を見つける。ちょうど昼飯時なので、アメリカ牛肉輸入禁止以来、すっかり食べてなかった吉野家の牛丼を食べることにした。注文の仕方がファーストフード方式だったので、多少日本とは味が違うんだろうなと思ったら、普通に同じ味だった。懐かしいっていうか旨いし安い。牛丼並10.9元(175円)なり。

そういえば、コンタクトレンズの保存洗浄液が無くなりそうなので、北京に居る間に買っておこうと思い、眼鏡屋さんに行く。しかし、置いているのは全部ソフトコンタクト用ばかり。「ハードコンタクト用の洗浄液は無いの?」と店員に聞くと「没有(メイヨー)」と言われた。他にも5,6件まわってみるも、何処にも無い。どうやらハードコンタクト用は取り寄せしないといけないらしい。そりゃそうだろう。北京・・、いや中国ではハードコンタクトは自殺行為に近い。現在体験中の僕らが言うのだから間違いない。毎日のように砂塵が吹き荒れて、駐車している車は一日で砂まみれになってしまうくらいだ。目を開けて歩いていられないので、今では日が差してなくてもサングラス着用が基本になっている。それにしても、これだけ砂埃の多い空気だと、2008年の北京オリンピックはどうなることやら。マラソン選手の肺機能に障害が出ないか心配だ。

故宮(紫禁城)(2006/04/13)

昨日、パキスタン大使館に行きビザ申請するが、日本大使館から事前に取得していたレターにスタンプが押されていないとの理由から一蹴されてしまった。しかも、レターを取り直したとしても、明日ではなく来週月曜に来いという。物価の高い北京にさらに一週間近く延泊するのは非常に厳しい。
リーに「北京で取得するのは諦めて、チベット経由でネパールに入りインドでパキスタンビザを取得しようか」と話をするが、なかなかリーは首を縦に振らない。了承しないリーの気持ちもわかる。何故ならチベット自治区に入るのには、個人では入ることができず、ツアーを利用しなければならない面倒、それに加えてその入境ツアーは一人1,700元(25,500円)もかかるという事実が、所持金の少ないリーには相当堪えるようだ。
そういう経緯から、今の時点でどういうルートで行くかは決めないで、次の目的地にさっさと移動することにした。北京に来てから宿泊費等含めて、一日3,000円前後も使ってしまっている物価の高い北京に一日でも長く居たくないからだ。
次の目的地は砂漠に囲まれたオアシスの町、シルクロードの交差点になる"敦煌(とんこう)トゥンホァン/Dun Huang"まで行くことにした。チベット経由でインドまで行きパキスタンビザを取ってフンザに行くか、もしくはウイグル経由でパキスタンのフンザは諦めてカザフスタンやキルギスタンなど、本当のシルクロードを行くか・・・。敦煌にいる間に決めることにした。チケットオフィスで明日出発の「北京→敦煌」硬臥を購入。510元(7,650円)

これで今日は北京最後の日になったので、せめて観光しなきゃと明と清王朝の王宮である"故宮(紫禁城)"に行くことにした。ここはラストエンペラーや中国映画の撮影によく使われているので、ほとんどの人が写真や映像で見たことがあるだろう。故宮入場料60元(900円)
中に入ってみると唖然。大規模に修復中だった。一番のメインである太和殿がすっぽりと緑のビニールシートに覆われている。僕は5年前に初めて故宮を見たときの衝撃は忘れられないものだったが、今回初めて来たリーにはちょっと可哀相だった。しかし二度目ということもあるのだろうけど、アンコールワットを見てしまってからだと、やっぱり見劣りしてしまう。修復の仕方がほとんど崩して、新しくコンクリートで建て直しましたってな感じになっちゃってるのが良くない。
故宮(紫禁城)
太和殿それにしても、いま北京の観光地は修復中だらけだ。景山公園も北海公園もイ和園も修復していた。2008年のオリンピックに備えてるのだろうか。