四川省へ(2006/03/19)
今日は成都に向かう。しかし列車の発車時刻が20:10なので、発車まではっきりいって暇!しかし、昆明で時間をつぶせるような場所もないので、宿のチェックアウト時間を夕方までのばしてもらうことにした。しっかり、半日分の料金をとられてしまったが、外で重い荷物を背負いながらボーッと時間を潰すよりも幾分かマシだ。なので、夕方までノートPCに入れてもってきたゲームでリーと遊ぶ(海外にきて何やってんだ。)
ぼちぼち夕方になったので、夕飯を食って昆明駅へゴー。中国で初めての鉄道だ。駅に入るといきなりX線で荷物チェック。まるで空港にきたみたいだ。
今度は改札。発車30分前で改札が開くのだが、開いたと同時に乗る人が殺到するので、一気に改札待ち。すごい列ができる。皆、我先にと集中するので、まるでお菓子に群がる蟻の大群を見ているようだ。すさまじい。僕らもその蟻の一匹になり押しつ押されつ団子状態になりながら、なんとか改札を通過。
僕らが乗る硬臥(ハードベット)は、ベトナム統一鉄道の時と同じ様にコンパートメントタイプになっているのかと思いきや、ただ車両内にいくつも3段ベットが並べてあるだけだった。でも、統一鉄道とは比べ物にならないくらい、シーツが綺麗でよかった。
成都(2006/03/20)
5年前に訪れたときよりも、中国はさらに経済発展をとげていて、鉄道も驚くほど早くなっているのに感心したが、如何せん人民のモラルは全く変わってなかった。実に残念だ。
鉄道車両の床は便所じゃねー!!痰を吐くな!タバコの灰や食べかすを捨てるな!ションベンすんな!うがいした水を吐き出すなよ床に・・・。日本の若者の電車で床に座るのとか可愛くみえちゃうよ。本当に道徳教育って大事だと思った。いくら経済が国際社会に通用するようになったとしても、モラルが国際的じゃなかったら、駄目だろ。
隣のベットのオヤジの巨大イビキにもムカつきながらも、やることがないので睡眠。持ってきた耳栓が初めて活躍する。
18時間の長旅を終え、昼過ぎに"成都"に到着。タクシーで"九寨江"に行くツアーを扱ってる旅行会社へ向かう。
タクシー乗り場での出来事がまた中国らしく面白い。ここでもタクシーを取り合ってる。順番とか関係なく、タクシーの助手席のドアを素早く開けて乗り込んだ人が、そのタクシーに乗車する権利を獲得できるシステムだ。笑った。むちゃくちゃ危ない。ドアを開けようとしても、タクシーは動き続ける、乗り込まないと止まってくれない。ボーッっとしててはドンドン順番抜かしされるだけなので、僕らも必死にタクシーを追いかけ乗り込んだ。こんなに危険を冒してでもタクシーを使う理由は中国のタクシーが安いから。初乗りで5元(75円)は安い。
旅行会社で"九寨溝"行きの現地ツアーに申し込む。3泊4日で590元(8,600円)。たかーい!
宿は旅行会社と同じ所にある「交通飯店」という所に泊まることにした。ドミトリー1人40元(600円)だ。考えたらドミトリーはこの旅で初めて。
同室になった人は、韓国人の若者だった。彼は成都、しかもこのドミトリーに1ヶ月も滞在しているツワモノだった。いわゆる沈没者。成都に沈没しているだけでなく、中国各地もちゃんと回っているので、中国でよかった場所を聞いたら、「"張家界(ちょうかかい)、ジャンジアジエ/Zhang jia jie)"Good!」との言葉が・・・。ここは行こうかどうかリーと悩んでいたので、GOODと言われたら行くしかない。九寨溝の後は張家界に行こう。
"九寨溝"三泊四日ツアー(2006/03/21-24)
[一日目]
早朝、泊まった交通賓館のフロント前に7時20分に九寨溝ツアーの迎えが来る予定のはずなのだが、実際に来たのは8時前になっていた。この適当さ、いい加減さにはもう慣れてきたので、まあ許そう。それよりも、旅行会社で予約した時にサッっと行程を見ただけで、行程表自体をもらってない。細かい行程がよくわからないままで、言葉も中国語しか話せない添乗員と、ツアー客は全員中国人のツアーだ。不安たっぷりで出発。
たしか今日は、九寨溝の入り口近くにあるホテルに向かうだけだったはず。九寨溝までは、車で10時間以上かかる距離なので、移動だけの日になる。
今日はバスで寝てるだけだなと思っていたら、昼過ぎにトラブル発生。バスの故障は中国では日常茶飯事らしい。僕らの乗ったバスも当たり前であるように故障した。すぐに直るだろうと思っていたが、直してはエンスト。また直しては止まってを3回ほど繰り返し、とうとう、なだらかな坂すら上らなくなってしまった。すでに午後3時近くなのに、我々は昼飯すら食ってない。昼食場所にすら着いてないからだ。それでも、エンジンかけて少し進んで、エンストしてはサイドブレーキを引いて、またエンジンかけて・・・、を繰り返してなんとか昼食場所に到着。我々が昼食をとっている間、運転手がバスを修理工場にもっていった。
中国で初めての体験。中国人達とみんなで中華料理のおかずを突きあい、ご飯をかきこむ。うまい。でも食器や箸が汚い。現地の中国人でもお湯で食器を消毒していたほどだ。潔癖症の人だったら、中国ではとても暮らせないだろう。
食事を終えてから、やっぱりお腹にきた!中国では逃れられない、下痢だ。しかもここは四川省、四川料理だから全体的に辛い食べ物ばかりで、下痢になりやすい。もう慣れてしまった、ドアも仕切りも無い、穴だけが開いている中国式のトイレで用をたす。ちり紙も常備されていないので、トイレットペーパーを常に持ち歩くのが当たり前になっている。
すっきりしてから一時間程たった頃、バスが戻ってきた。もう5時前だ。でも、ちゃんと修理されたようで、問題なく走る。遅れた行程を取り戻そうと、ガンガン飛ばすので、むちゃくちゃ怖い。
夜10時になっても、まだバスの中。急に寒くなったので窓の外を見ると、なんと雪が積もってる!しかも吹雪だ。おもえば、冬の日本から出てきて、タイ・カンボジアで夏,ベトナムのハノイで梅雨,中国の河口で春,と季節を逆流してまた冬に戻ってきた。下着の上に長袖、薄いウインドブレーカーが最大の重装備の僕は寒さで倒れそうになった。
結局、九寨溝のホテルに着いたのは、深夜11時過ぎ。遅い夕食をとって、部屋へ。部屋は3人部屋で、一人でツアーに参加していたユンシャンピンさんと同室になった。ある程度英語の出来る人で、英語と中国語の筆談で会話が出来て面白かったけど、やっぱり予想通り靖国参拝の話になった。ここで怒らせてツアーを台無しにしても仕方が無いので、適当に「良くないね」と話をあわせた。でも、彼自身は「日本人を尊敬している、トヨタ・ホンダ・スズキ・ヤマハすごい、日本人は頭が良い」と言ってくれた。
[二日目]
今日は丸々一日かけての九寨溝めぐり。昼食時に肉まんとひまわりの種(リスの餌くらいにしか思ってなかったけど、食べてみるとおいしい)をくれた女子大生のメイリンさんと、その叔父さん叔母さん、同室になったユンシャンピンさん、僕らの6人で一緒に九寨溝をまわった。
冬の九寨溝はムチャクチャ寒い。しかし、冬は冬なりに、山に雪が積もっていて、その景観がそのまま鏡のように九寨溝の水に写る。その美しさは予想以上だった。
[三日目]
夏季なら本当は、もうひとつの世界自然遺産である"黄龍(こうりゅう)、ホワンロン/Huanglong"に行くはずなのだが、冬季の今は凍結しているらしく、行くことができない。変わりに今日は似たような自然景観の"牟尼溝(むにこう)、ムーニーゴウ/MuNiGou"という所に行く。
バスで向かう途中、面白い動物を見ることが出来た。牛の仲間だと思われる、毛の長い牛?がいた。今までテレビでも見たことがない。
そして、やっぱり寄りましたツアーに付き物の土産物屋の連続。正直たまらん。おまけに中国人マナー悪すぎ!バスの中で唾吐くなよ。大声で賭けトランプし続けんな。椅子を揺らすな。タバコ吸うな。これがまた悪意が無いだけに性質が悪い。悪いと思ってないようだし、他人に気を使うってことがわからないんだろうか。
今まで色んな国を見てきたけど、漢民族ほどモラルの低い人民は無い(しかし良い人は良く、モラルの低い人と天と地ほどの差がある)。また、面白いことに近年教育を受けた若者の方がモラルが高く、40,50代の中年に駄目な人が非常に多い。やっぱり教育は大事なんだと再認識させられる。でも中国には漢民族以外に沢山の部族がいるが、それらの人達は逆に好感が持てる場合が多いので、一概に教育だけの問題じゃないのかもしれない。結論として、1割くらいの信じられないほど駄目な奴が、全体の平均値を下げて中華人民の印象を悪くしている。(それぐらい駄目なのが1割もいるっていうのが問題なのだけど・・・)
牟尼溝は、石灰質の滝がある所で、丸みを帯びた鍾乳石のような上を100mほどの落差から水が段々と流れ落ちている景観だ。なかなか見られない滝だとは思うが、やっぱり黄龍のほうがもっと凄いんだろうと思うと寂しい。
今日は、移動したのでまた違うホテルになった。ちゃんとツインルームになっている。服務員の人が、この地方の部族の人で、チベット系の顔をしていて、すごく可愛い。全然中国語の解らない僕らに対して、ベットメイクもしてくれて寒いからと毛布も出してくれた。サービス精神の概念が薄い中国では意外な行動だ。最後に「私はチャオマです」と名前を教えてくれた。冷え切っていた心を暖かくしてくれたチャオマありがとう。
[四日目]
今日は成都に戻る日。移動するだけで、ずっとバスで寝ていられるとおもっていたら大間違いだった。また土産物屋の連続。どんだけ儲けてんねん!旅行会社!
連日寒いのに、軽装備で動き回ったせいで、風邪を引いた。「風邪で咽喉が痛い」とユンシャンピンさんに言ったら、他のツアー客の人に薬をもっていないか聞いてくれて、漢方薬を頂きました。何かの大きな種みたいなので、それを噛んでいるとすぐに咽喉の痛みが和らいだ。漢方医学の神秘だ。
途中で、"都江堰"という世界遺産登録されているところによったが、パンフレットをみても、ただの治水工事跡というだけで、まったく興味が湧かない。入場料も90元(1350円)と高く、写真を見る限り、修復されまくって、跡形も無いように思えたので入らなかった。山中を走る道の途中で見ることが出来た、山と谷の合間に暮らす村の風景の方がずっと素晴らしい。(追記:後日調べてみると、なんと紀元前につくられた水利施設らしい。それが現在も稼働している。入ればよかった。後悔先に立たず。無知だったのが悔やまれる。)
成都に着いたのは、夕方6時。バスを降りてすぐの所にある招待所に泊まる事に決めた。双人房(ツインルーム)一泊100元を80元にまけてくれた。
夕食に"魚香茄子ユーシャン・チエヅ(麻婆茄子)"というのを注文。甘辛い四川風のタレで茄子を炒めたもので、これが大当たり!むちゃくちゃ美味い。ご飯三杯も食べてしまった。