「ルーマニア」シルクロードを放浪した2006年の旅行記

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ルーマニア(2006/07/19-20)

セパレートで同室になった、イギリス人と日本人カップルの話は面白かった。イギリス人は38歳バックパッカー、日本人女性の方は6年もバックパッカーを続けている大先輩だった。実にダメになる、もといタメになるお話だった。中でも興味を引かれたのは、イギリスで働くと時給4,000円になるそうだ。イギリスで働いて、しばらく遊んでは、金が無くなったらまた働いてを繰り返すバックパッカーも多い。それと、ハンガリーはEU加盟してからの影響のため、ここたった数ヶ月の間に30%も物価が値上がりしたらしい。ガイドブックで表示されていた料金との差が激しい理由がこれでわかった。現地の人は本当に大変だろう。

それはそれとして、宿代がブタペストにしては安いというだけで、僕らにとって一泊30EUROは厳しい。居心地がいいので延泊しようか迷ったが、やっぱり今日はルーマニアに行く。

駅に行き、国際切符売り場でルーマニアの"ブラショフ Brasov"行きを長蛇の列に並んで2時間かけて購入。こんなに混んでいるのに、国際切符売り場の窓口を増やさない中欧諸国はやっぱり理解できない。距離が長く、夜行なので料金は思いのほか高く、17,670フォリント(9,800円)もした。

ルーマニアのブラショフはトランシルヴァニア地方にある。そう、誰もが知っている吸血鬼ドラキュラで有名な場所だ。ドラキュラのモデルとなった、串刺し公ヴラド・ツェペシュの居城であるブラン城が近くにある。ほかにも、高原リゾート地が近くにあるので、ブラショフはそれらの拠点として実に便利な場所だ。

夕方6時に発車したブダペストからルーマニア行きの夜行列車は混んでいた。6人用のコンパートメントが満員状態で、足が伸ばせない。とても眠れる状態じゃない。結局一睡も出来ずに明け方になった。窓の外をみると、鬱蒼とした森の中を列車は走っている。それが、濃い霧に包まれて、その向こうから太陽が山裾から顔を出してきて、なんとも幻想的な風景だ。霧に包まれたトランシルヴァニア、なんとも雰囲気がある。これで夜を迎えると、狼の遠吠えが聞こえ、霧に包まれた森の上に浮かぶのが満月だったら、まるっきりドラキュラの世界じゃないか。

ブラショフの中心街列車を降りて、ブラショフの中心街まで歩いていく。なんのことはない、田舎の地方都市といった様相だ。その為か、宿が中欧にしては安くて助かる。HOTELが一泊2,000円程度だ。ルーマニアはまだEU加盟を果たしていないだけあって、物価はそれほど急激に上昇していない。しかし、インフレによって桁がおかしくなった通貨を修正するため、通貨単位を4つも切り捨てた新札に去年から今年にかけて移行期間中なので、新旧まざったお札でお釣りを渡されると実にややこしい。

ドラキュラ城(2006/07/26)

ブラショフの居心地の良さに、しばらくボケっとしていた重い体を起こし、今日はブラン城に行く。ルーマニアのトランシルヴァニア地方にあるブラショフは、吸血鬼ドラキュラの居城のモデルとなったブラン城が近くにある。オスマン朝の兵士を串刺しにして並べる残虐さから、串刺し公の異名を持つようになったヴラド・ツェペシュの居城だ。

ドラキュラ城吸血鬼ドラキュラの居城のモデルとなったブラン城にある十字架バスを乗り継いで、一時間ほどでブラン城に着いた。ブラン城の周りは、ドラキュラグッツのお土産物屋でいっぱいだ。ブラン城周辺のホテル名も変わっていて、ヴァンパイアHOTELなんてのもある。その主役であるブラン城は、期待していたよりは小さく、まるでハリボテのようだ。実際城の正面側の造りが何故か、ナイフで真っ二つに切ったケーキの断面のように平らで、正面からみれば本当にハリボテ。
リーが「これで、雨でも降ってくれたら、まだ雰囲気があっていいのになぁ」などとほざくから、本当に雷を伴った豪雨になった。城内を見学中はずっと、雷光が飛び、雷鳴が轟く。雰囲気はバッチリになった。しかし城内は棺桶とかがあるわけでもなく、いたって普通のお城というか立派な洋館のお屋敷みたいな感じだった。

ブラン城ブラン城の中再びブラショフに戻ると、公園ではお爺さん達が、泉で涼みながらチェスをやっているのかと思いきや、よく見ると麻雀をしていた。もうここはアジアに近いからなのか、アジアの影響がチラホラみえる。

一所に長居をするのは楽だ。でもそうは言ってもお金が無い。そろそろ大移動を考えないといけない。旅行会社を数軒まわり、ここブラショフから直行でイスタンブールに向かうバスが出ているのを発見した。トルコのTROYという旅行会社で38ユーロと非常に安い。リーの所持金が残り$1,000ほどになってきたので、帰りの航空券を考えるともうギリギリ。考えるまでも無く、このバスで一気にブルガリアを通過して、トルコに入ることにした。リーはトルコから日本に帰る。