「タイ王国編」シルクロードを放浪した2006年の旅行記

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出発の日(2006/01/29)

出発日の正午、日本食としばしお別れという事で、リーと共にとんかつ定食を食べる。 関空には空港バスで移動。着いたのはチェックインの一時間半前。 そのおかげで早めにチェックイン手続きを済ませたので、窓側の席を確保できた。 座り続けでエコノミー症候群になりそうなケツの痛みにタイまで6時間絶えながら、 バンコク国際空港(ドン・ムアン空港)に着いた頃には現地時間の午後11時を回っていた。

 狭い座席から開放されたとばかりに僕らはよろこび勇んで降機した。 降りた瞬間、1月の夜中なのにムアッっとした熱気。そうか、ここは常夏の国タイなのだ。 真冬の日本から着用していた洋服三枚重ねの僕らには堪らない。その瞬間、異国に来た実感が汗とともに沸いてくる。

 入国審査と手荷物受け取りをなんなく済ませ、空港のトイレにて日本での平和ボケ感覚を唾棄すべく、腰に盗難防止ようの現金を隠すことの出来る帯巻をセットし、ズボンでみえない位置(パンツの位置)までおろして、そこに今後の旅の予算を隠した。
 これで、強盗にズボンまで身ぐるみ剥がされる事態に陥らない限り大丈夫だろう。 僕らは臨戦態勢を整えた。なぜなら、日本で打ち合わせしていた時は空港で夜明かししようという予定でいたのだが、機内で相談してこの際今日中にバンコク市内まで行ってしまおうという事にしたからだ。すでに深夜12時前。

 まずやるべきことは両替。お金がなければ始まらない。空港の両替所は円/バーツレート0.329だった。1万円を両替して、さっそくバンコク市内行きのエアポートバス停へ向かう。空港の到着ゲートを出ると、大量の客引きが待ち構えていた。とても相手にしてられない。声を掛けられても無視して、客引き達を掻き分け、バス停のチケット売りのお姉さんに、宿泊場所に決めていた「チャイナタウン方面に向かうA4ルートの乗車券を売ってちょうだい」と聞くと、「もう、この時間には運行していないよ」と言われてしまった。どうしようかと途方にくれていたら、親切にもお姉さんは「A3ルートでバンコク市内に入ってからタクシーでチャイナタウンに行ってはどう?」と教えてくれたので、その方法で行くことにした。

 エアポートバスでバンコク市内まで約1時間100バーツ(約306円)
エアポートバスと良いように聞こえるが、ものすごいオンボロバスだ。そこらじゅうの塗装が剥げており、乗降扉にもたれ掛かろうものならば、そのまま外れて落ちてしまうだろう。 僕らの目的地チャイナタウンに行くにはルート上一番近いルンピニ公園で途中下車になる。 50分程走った所でバスが停車し運転手がタイ語で何か叫んでいる。何を言ってるのかわからないので、聞きに言ってみると、ここがルンピニ公園だと教えてくれていたようだ。

 深夜1時、バンコク市内に到着した。ルンピニ公園周辺には裸で寝転がっている目つきのギラギラした野郎達がそこらじゅうにいる。かなり雰囲気はヤバそうだ。 さすがに怖いので急いでタクシーを拾う。 「チャイナタウンまでいくらで行く?」と聞くと、 「チャイナタウン? あ~、今日は祭りで人がいっぱいだから行けないよ。」と言われてしまう。 困った顔をしていると「200B(約611円)だったら行くけど?」言われた。 値段交渉してみるも結局押し切れず、早く立ち去りたかったので200Bで行ってもらうことにした。  運転手のおっちゃんはおしゃべりで、こちらが日本人とわかると 「女の子どう? かわいいよ?」と風俗をさっそく勧めてきた。やっぱりそういう町なのだ。僕らはもう疲れきっていたので断り続けた。おっちゃんは最後までしつこく、もし用があったら電話くださいとまで言ってきた。最後は握手でお別れ。バイバイおっちゃん、もう二度と会うことも無いだろう。

 チャイナタウンはすごい車と人だらけだった。中国特有の龍を模った大きな飾りがある。やはり祭りなんだ。 宿泊場所はチャイナタウン泥棒市場近くのホテル。ツインで720B(約2160円) ガイドブックには580Bと書かれてあったのに、祭り値がついたのだろうか?もう疲れて、重い荷物を早く降ろしたい一身だったので、深く考えずここに決めた。 ホテルに着いた時は午前1時30分。思ったより小奇麗な部屋だ。TVや冷蔵庫もあるし日本のちょっと古いビジネスホテル並だ。これで一人辺り1000円だと思うと物価としては安いのだろう。

 とりあえず、眠たいがその前にお腹も空いたしお祭りも見たいので、夕食へとチャイナタウンを歩いて見ることにした。 沢山の屋台があったのでホルモンと肉とワンタンみたいなものが入った汁物を頼む30バーツ(約92円)美味しいけど、おそろしいほど辛い、罰ゲームでコショウを一瓶いれられた感じ。 あまりに辛いので、屋台でうっていたココナッツミルクいりのジュースを買う10バーツ(約31円)。 帰りにセブンイレブンでタイのビールが売っていたので1瓶とハムを購入64バーツ(約196円)。 タイにはセブンイレブンが50mごとにある。日本以上でびっくりした。便利だねぇ。

トムヤムクン(2006/01/30)

翌朝8時に起きる予定が目覚めたら11時30分になっていた。やはり疲れていたようだ。部屋のエアコンが効き過ぎて、凍えるような目覚めだった。 すぐに荷物をまとめてチェックアウトする。チェックアウト時にホテルのフロントマンに「新年あけましておめでとう」と日本語で言われる。つられて「あけましておめでとう」と言ってしまったが正直なんのことやら・・・と思い外に出ると、なにやら厳重な警備で人がわんさかいるチャイナタウン。車に乗ったVIPがたくさんのSPと共にチャイナタウンの道をすぎさっていった。そのときようやく、昨日のお祭り騒ぎの正体が中国の旧暦の元旦(春節)であった事を知った。偶然にもタイに来て中国の正月を味わう貴重な体験をした。

 今後の進路が決まるまでは、バンコクに滞在する予定なので宿泊料を出来るだけ安く済ます為に、格安のゲストハウスに移動する。あまり騒がしい所は避けたいので、静かなところにあるゲストハウスを探すことにした。ガイドブックによるとルンピニ公園ちかくの場所が静かで良さそう。 そのため、2004年にできたばかりというタイの地下鉄に乗る。さすが最近できただけあって、なかなかおもしろいシステムだった。チャイナタウンからルンピニ駅まで18バーツ(約56円)窓口にて払うと、コインのような黒くて丸いチップを渡される。それを赤外線?にかざすと改札が開く仕組み。JRのピタパやイコカと同じようなものだ。ホームから出るときは自動販売機のコイン入れみたいなところにチップを入れて回収されるシステム。

 電車内も小奇麗で乗客はみなキチンと静かに座っている。駅に着き、しばらく歩くといくつか目星をつけていた最初のゲストハウス(PS Guest House)に到着。出店が立ち並ぶところに狭い階段があり、そこを昇るとフロントがあった。屋台と同化しており気づきにくい。 フロントの兄さんにとりあえず1週間ほど泊まれるか聞いてみるとOKだという。さっそく部屋を見せてもらい、ドア鍵がしっかりしてるかチェックした。エアコンは無く扇風機のみ、トイレとシャワーは一応あるが狭いので便座の上でシャワーする感じになる。しかし部屋が大きく10畳近くあり特に不満は無いので、ここに決めることにした。1日ツインで270バーツ(約820円/1人当り410円)だ。値段交渉してみるも、もうこれが限外値だと言われて無理だった。

 お腹が空いてきたので、ゲストハウスのすぐ隣にある屋台へ。 もやしとうどんを3cm位ずつにブツ切りにしたものに、柔らかく煮込んだ牛肉と牛肉団子が入ったスープを注文する。具だくさんで美味しい。 もうひとつは焼き飯風のご飯の上にカリッと焼いた肉をのせたもの。肉はそれ用のタレにつけて食べる。もちろんタレはタイ風に辛め。この2品に飲み物。アイスカフェオレ(ココナッツミルク入りで甘い)・アイスティ(中国茶にココナッツミルク)で2人で79バーツ(約242円)だ。

 ゲストハウスに戻り、一休みにメールでも見るかとノートPCを立ち上げてみると、なんとワイヤレスLAN利用可能の反応あり。驚きにも無線LANが使えるではないか! でも、このゲストハウスにそのようなサービスは無いはず。ということは、この近辺のネットカフェから開放されたものなのだろうか。ありがたく利用させてもらう。これでタイではネットカフェに行く必要がない。

世界三大スープのひとつトムヤムクン晩御飯は歩いて行ける距離にあるナイトバザールへ。 そこは観光バスがたくさん停車しており、そのバスの観光客と思われる人だかりでいっぱいだ。なるほどバザールらしく様々な物が売っている。しかしお土産ものばかりで、タイに着いたばかりの僕らにとっては、まったく縁のないものばかりだ。お土産屋は気にせずバザール内にあった屋外レストランに入る。 ここでは世界三大スープのひとつトムヤムクンと、タイ料理でなにかおすすめない?と店員に聞いて出てきた海老と韓国のチヂミがぶつ切りにして煮込んだ真っ赤な色した見るからに辛いスープとタイ米の白飯、ビールを注文。赤いスープはムチャクチャ辛い。辛くなった口を甘くしようと、デザートに温めたココナッツミルクにコーンが入った変わったものを注文してみる。意外にこの組み合わせは絶妙で、コーンのささやかな甘味が先ほどの激辛の口を癒してくれるには最適のデザートだった。だが、全部で570バーツ(約1744円)とかなり贅沢をしてしまった。まだちょっと日本の物価気分でいるから、ついつい無駄遣いしてしまう。

 夜も更けると、やはり安宿に必ずいる黒くて素早いやつら、ゴキブリがワサワサと出てきた...。これを書いてる今もそこらで走り回ってる。さすがにあれだけでかいと気持ち悪いな。     

リーの代行日記1(2006/02/01)

今日は私が10時半に起きても ジョーはまだまだぐっすりの様子、ゆすっても、蹴っても起きない。困ったものだが、ジョーらしいので許す。
 12時に一度、ジョーが起きるが、また寝る。ふ、今日も予定がこなせそうに無いや。一度起きたときに予定変更を言って、承諾を得ているので自分は今日の計画に精を出した。王宮見学の代わりにタイスキ(タイのすき焼き)を食べに行くことにした。(食べ物のことしか考えてないなあ。)

 といってもすでに午後3時なのはどういうことだ、ジョー
 ようやく起きたジョーと共に宿を出て、移動手段考えた結果、バスはいまいちわからんしタクシーは高いということで二つの選択肢が残った。トゥクトゥク(三輪車タクシー)かモーターサイ(自動二輪タクシー)だけど、近くにトゥクトゥクがいなかったので宿の通りにいつも屯って、暴走族みたいにしか見えないモーターサイを使ってみることにした。

 リーダーらしき取り仕切るおっちゃん(この辺りが暴走族っぽい)に目的地であるサヤーム・スクエアに連れて行ってもらえるか、聞くと一人60Bバーツ(約180円)で可能とのこと。
 いざ出発で、面白かったのが取り仕切ってると勝手に思っていたおっちゃんがケツに乗れといってくる。リーダー自ら?と思ったら、モーターサイは個人の交渉みたいなので、暴走族みたいにチームはあるけどリーダーは無いみたいだった。

 そしてバンコクでの交通移動は壮絶。私はモーターサイで事故が多いと聞いていたのでかなり座席を握る手の力が強くなっていた。「落ちたら他の車に轢かれて死ぬなあ」とおっちゃんも少し話してくれましたが(英語で!)空返事に近くなってしまいました。目的地に着くとおっちゃんが指して教えてくれました。おっちゃんにお代とお礼をして降りました。近所ならまた乗ってもいいかな。今回学んだことはモーターサイは近場だけにしておこうってこと。

マンゴーアイスとマンゴープリンさて、着いた通りで店を探すとタイスキをやってる店が2つも見つかり、違いがわからなかったので現地の人が多いところに入った。タイスキはハッキリ言ってしゃぶしゃぶ。でも、4人前たのんでも447バーツ(約1200円)。二人で食べるには十分すぎる量でこの料金なら満足。

 今日は、いっぱい食べようということで、このあとマンゴーをメインとしたデザートを食べられるお店に行き、角切りにしたマンゴー、マンゴーアイスとマンゴープリンを食べた。100バーツ(約300円)よくある保存料や添加物がまったく無い自然のまま味で大変美味でした。

リーの代行日記2(2006/02/02)

相談して決めた結果、タイ→カンボジア→ベトナムというルートで、とりあえず中国まで行くことになりました。なので今日はカンボジアのビザ(査証)を大使館に申請しに行く。しかーし、閉まってました。地球の歩き方に書かれていた時間は間違ってました。
伊勢エビをメインにシーフード料理
 仕方がないので、近くにあるレストランでヤケ食いとなりました。伊勢エビをメインにシーフード料理を腹いっぱい食いました。 伊勢エビは野菜と一緒にあんかけ状態になっていて、そこに焼きそばを混ぜて食べるという一風変わった食べ方。ムチャクチャうまかった。値段は伊勢エビ一匹丸ごと入っていて1060バーツ(約3200円)

 その後、近くにあるルンピニ公園を散歩。ぼーーっと湖面を見ていると、ボートに乗ったおっちゃんが、岸辺の草木に水をやっているのが目に付いた。広い公園だから水をやるにもボートなのかあと思っていたら、水が何か生き物に直撃してますよ、ジョーさん!
 目を凝らしてみると2Mくらいの蛇みたいな生き物が水をかけられてます。大道芸用の蛇かなあと見ていると、おっちゃんそのまま次の草木へ。いつものことなのかな?
大きなトカゲ
 しかし、よく見ると大きなトカゲでした。そのまま排水溝に入って行っちゃいましたが。 写真は少しだけ。そして公園をゆっくり回るといろいろな発見がありました。トカゲはあの一匹じゃなかった。いっぱい居た。ジョーがいっぱい撮ってた。それはもうトカゲが嫌な顔する位。そして嬉しいことに、猫も沢山居てたっぷり見れた。今日はこのまま家路に着いたとさ。

リーの代行日記3(2006/02/03)

今日は、朝早く起きて昨日失敗したビザを取りに行く。朝に申請して午後受け取りの即日交付なので、その間に王宮とワットポーの寝仏も見に行こうと思う。
 午前9時、普通の民家のようなカンボジア大使館前で門が開くのを待つ。入国カードに記入し、顔写真と25$を渡しパスポートを預ける。夕方5時に出来上がるということなので、それまで観光することにした。
 移動はワットポーまでタクシーで、その後トゥクトゥクでバンコク市内をグルグル回る羽目になる。

[トゥクトゥクその1]

巨大な寝仏のあるワットポーをしっかり観光した後、王宮に行く途中で詐欺にあってしまいそうになる。後でガイドブックに書いてあったのを知り結構有名な詐欺手口だったようだ。詳細はこう。
巨大な寝仏のあるワットポー

 王宮に入ろうとしたところ、親切そうに話しかけてきたお兄さんに「王宮は今お祈りの時間で入れない、あと2時間ほどで開くからその間に違うところを観光したら?」と嘘を付かれ、3箇所ほど名所らしき所を地図に書き込んだ。そしてお兄さんはトゥクトゥクを呼び、「この3箇所めぐりいくらで行く?」と聞いている。トゥクトゥクの親父は「60バーツ」と言うと、すかさず「高い、30バーツ」。親父はうーっと唸ったあと、「OK」とうやむやに商談成立してしまった。
 後でわかったが、トゥクトゥク親父もグルでこれらのやり取りも全部演技だ。騙される経験の薄い僕らは、雰囲気に呑まれお兄さんを、値切り交渉までしてくれて親切な人だと思ってしまい、その条件で行くことになった。

 なにも判っていない僕らはトゥクトゥクに乗って巨大な仏像があるという寺院へ連れて行かれた。だかそこに着くと観光客もなく、隣は学校で閑散としている。ここで何かおかしいと感じる。一応寺院に入ってみると、そこに居た大学生らしき若者に「この場所になにしにきたの?地図にも載らない所なのに...。あなたは仏教ですか?」みたいな事を言われる。そこで、王宮前で話しかけてきたお兄さんが地図に書いた3箇所をこの若者に見せてみると、意外なことに「もしかしてトゥクトゥクで来ました?このまま乗って行くと偽のサファイヤなど売りつけられる所に連れていかれる。トゥクトゥクの親父に金渡して逃げた方がいい」と教えてくれました。どうやら有名な手口らしく、しょっちゅう僕らのような旅行者がこの寺院に連れてこられているようだ。(たぶん有名な観光箇所だと、警察による取り締まりがあるから)

 騙された事を知った僕らは、トゥクトゥクの親父に「ここまででいいから」と約束通りの30バーツ(約91円)渡し、その場からさっさと去った。後ろでトゥクトゥクの親父がぶつぶつ言っていってるのが聞こえた。

[トゥクトゥクその2]

トゥクトゥク親父から逃げたはいいが、僕らが居る現在地がよくわからない。王宮に戻るため再びトゥクトゥクをひろい向かうことにした。道路を流していたトゥクトゥクの若い兄ちゃんを捕まえる。まず、王宮に行ってもらうように言うと、しばらく地図をみながら困っていたようだが、行ってもらえることになった。
王宮
 ここで、私は勝手に想像して、この兄ちゃんはまだかけだしで、乗っているトゥクトゥクは親父譲りで・・・などと。それはさておき、値段交渉は50バーツで行ってもらうことになった。上記の想像から、ちゃんと王宮に着くのか不安だったけど、無事に王宮の入り口まで着けてくれた。
 トラブルで遠い回り道になってしまったが、王宮をようやく堪能できた。私的には250バーツ(約765円)の入場料は痛かったが、見たかったタイ王国の王宮が見られたのでよかった。

[トゥクトゥクその3]

王宮を出て、カオサン通りに向かって歩いていると、軍服の服装をしたおっちゃんが「どこから来たの?」と声をかけてきた。おっちゃん曰く、僕らはパッと見がタイ人に見えるそうだ。髭を伸ばし、ボロい服を着て日本人に見えづらくする作戦も少しは効果があったみたい。

 このおっちゃんなかなか感じの良い人なのだが、この後が大変で、結婚指輪を見せてきて「嫁さんはそこのタマサ大学で先生をしているんだ」など嫁さんの自慢話を延々としてくる。聞いてねえのに。離れるまで、嫁さんの話を繰り返す。先月結婚したばかりだそうだ。新婚なのだろうが、外人の僕らに自慢話されてもなぁ・・・。

 さらにカオサン通りに向かって歩いていると、再び声を掛けてくる別のおっさん。次の人はさっきの軍人さんの嫁さん話ででてきたタマサ大学の先生だという。たしかにまんま見た目は、ちょっとひょうきんな教師だ。タイの人は聞かないことまで話してくれて、私には嬉しい。

 今、大学には交換留学生が来ていること、その留学生からプレゼントとしてもらった時計も見せてくれた。さらにはタイ語も教えてくれた。「ペンパイ!(それは高いよ!)」など。(あってるかどうかは知らない)トゥクトゥクの見分け方や値段交渉の仕方など、後学のためになった。
 万事テキトーな僕らは行き当たりバッタリが好きみたいだ。ここで止めておけばよかったのに、この先生に薦められた寺院に行くことにした。目の前にきたトゥクトゥクに先生に教えてもらったペンパイを使って交渉成功。ただ不安もある。ついさっきワットポー前で騙されたことが頭にあったからだ。

 走り出したトゥクトゥクは、砂埃一杯の道路を爆走していく。僕らは両方ともコンタクトレンズ着用者なので、どちらかが「ぎゃあ」や「うっ」など悲鳴を上げることになる。今回はジョーが負傷したようだ。

40m以上ある立った巨大な仏像 ともかく、一つ目の寺院に着いた。ここはガイドブックにも書いてあるところで40m以上ある立った巨大な仏像がある。見所はこれだけなので、写真を撮って次の場所へ。
 二つ目の寺院へ向かっている途中、嫌な感じがしてきた。予感は的中。[トゥクトゥクその1]で連れて来られた同じ場所に到着。先生が言っていた場所とも違うしトゥクトゥクの親父が間違えたのかワザとなのだろうか?
 その時、[トゥクトゥクその1]で逃げた方がいいよと教えてくれた大学生が走りよってきて、「ミスター!カムバック?」と・・・また来ちゃいましたと三人で大笑いだ。あはは。気を取り直して、トゥクトゥクの親父にカオサンに行ってくれと言うと「カオサンは近くだから歩いていってくれ。この道は一方通行だから戻れない」などと言う。もうこのおっさんは信用ならんので降りた。

 歩き出して気がついたのだが、方向がわからない。迷い込んだ近くの大きな寺院で警備をしているらしきガタイの大きな親父に道を聞く。親切に地図を何度も確認して教えてくれた。カオサンはここから20分ほど歩かないといけない距離らしい。どこがすぐ近くにあるだよ!トゥクトゥクの親父め。トゥクトゥク不信になりそうだ。

[カオサン通り]

ガイドブックに一回は行っとけなどと書いてあるので、カオサン通りに行ってみる。カオサンに着く前に、お嬢様学校らしき生徒の帰宅時間と被ったようで、どこを見ても女学生だらけ状態になった。お嬢様なわけは、迎えの車が2,30台と止まっていて、さらにタクシーで帰る学生もいるんだもん。ジョーと「金はあるところにはあるんやなあ」と話してから、我が身を見ると・・・ハァ。

カオサン通り で、着いたカオサンをざっと見ると、なんかヤンキー街みたいだ。薬でもやってるのだろう目の虚ろな欧米人が昼間から酒びたり。雰囲気は良くないというかタイじゃないみたいな印象、アメリカのダウンタウンといった感じだろうか。

 折角来たからと通りを歩いていると、路上で色々な証明カードや国際学生証などを展示している。なんだろうと見ていると「150バーツ(約460円)で作るよー」っと言ってくる。これは面白い!もうすぐ28歳になろうというのに国際学生証を作ってもらうことにした。国際学生証は実際ヨーロッパでは非常に役に立つ。美術館では学生は半額もしくはフリーになる場合が多いからだ。  裏に連れて行かれて、名前と生年月日、大学名などを記入する。僕はどうせならと京都大学にしてもらった。ものの10分で僕が大学生だった時に作った本物の国際学生証と見た目ほぼ同じの偽国際学生証が出来上がってしまった。僕らの横では欧米人がジャーナリスト証明書なるものを作ってもらっていた。そんなもの何に使うんだ。なにに。

[夕食]

寄り道が多く、カンボジアビザの受け取り時間ギリギリになっていることに気がつき、急いでタクシーでカンボジア大使館へ向かい無事にビザを受け取る。
 そういえば、今日はこれだけ動いたのに食事をしていない。夕食は豪華にと、以前から行ってみたかったチャオプラヤー川に面した場所で食事できる所に行くことにした。これはよさそうだと思っていたので、疲れきって「もう帰ろうぜ」などと言ってるジョーを無理やり引っ張っていく。店は川の向こう側にあるので、渡り船を使うか、長い橋を歩くしかない。貧乏な僕らは選択の余地なく橋だ。橋を渡っても店の位置が良くわからず30分ほど迷いながらようやく到着。

 だが店は潰れていた(笑)あはは。折角来たし眺めは同じだろうということで、その場所にあった中華料理屋に入る。食事はお腹が減っていた事もあり、さすがにおいしかった。目の前にチャオプラヤー川が見えるはずなのだけど、夜が更けているので、まったく見えない。川面をゆく船の明かりだけが見える。
 また、歩いて橋を渡って帰った。今日は20km近く歩いたんではないだろうか・・・。僕らは泥のように眠った。

アユタヤ(2006/02/06)

朝7時に起きる。アユタヤ行き8時20分発の鉄道に乗るためだ。鉄道料金は思った以上に安く三等列車でたったの20バーツ(約61円)。アユタヤへは1時間20分ほどで到着した。

アユタヤ 駅前にあったレンタサイクルで自転車を借りてアユタヤの遺跡めぐり。アユタヤはチャオプラヤ川の上流にあり、それらの支流によって町全体がすっぽりと川の中州に存在する。なので、遺跡めぐりをしようとおもったら、中州に入らなければならない。そのため、渡し舟を利用することになる。自転車とともに船に乗船。船といっても、木船のようなもので、手すりもなにも無くただ板の上に乗るだけの形になるので、波が出たときはスリル満点なのはいうまでも無い。

アユタヤ遺跡 遺跡はさすが有名どころ、ローマのフォロロマーノやギリシャのパルテノン神殿を初めて見た時と引けをとらないほどの衝撃。無惨にもビルマ軍が占拠した際に仏像の頭部などをすべて切り落としたり遺跡を破壊しつくした有様がみてとれる。これが完全な形であったら、さぞや壮観だったに違いない。

国境の町 アランヤプラテート(2006/02/08)

今日はカンボジアにあるアンコールワットに向かうため、タイとカンボジアの国境にあるアランヤプラテートという町へ移動。移動手段はバスと鉄道の二種類になるが、鉄道がその町まで48バーツ(約148円)という破格の値段なので鉄道で行くことにした。鉄道は一日二本しかなく、所要時間は約5時間。しかし一本目は朝の5時発ととんでもなく早い時間なので選択の余地なく昼すぎ13時発の汽車に乗ることにした。

 バンコクの鉄道中心駅、ホアランポーン駅につくと、いつものとおり詐欺まがいの自称案内人のおっさんやおばさんが「何処行くの?チケット買ってあげる」など言ってるが、まったく無視しながら乗車券窓口へ。僕らがあっさりとチケットを入手すると、おっさんらはさっさと退散した。

 駅には少し早くついてしまったので、重い荷物をおろしてホームにて列車を待つ。30分ほどして列車が駅内に到着したら、待っていた人達がいっせいに乗車し座席の取り合いが始まる。少し出遅れた僕らは、残念ながら進行方向に対して横になっている席しか確保できなかった。

アランヤプラテートまでの鉄道 エアコンも無い列車の中はさながら蒸し風呂のようで、硬く狭い座椅子に腰が痛くて地獄だ。しかも各駅停車で頻繁に車内の人が入れ替わるので精神的に辛い。おまけに暑いからと、列車内すべての窓を開け放っているので、砂埃やススがダイレクトに車内に入ってくる。コンタクトの僕らには強烈な5時間だった。

 目的地アランヤプラテートに到着したのは夕暮れ18:20定刻どおりだった。そのまま、国境を越えようと思っても、イミグレーションがすでに17:00で封鎖されているので、今日はこの町で一泊することになる。
 トゥクトゥク(原付三輪車)の兄ちゃんに、50バーツ(約154円)に負けさせて近場のホテルへ連れて行ってもらった。一泊ツインで300バーツ(約920円)だ。バンコクと比べると格段に安い。おまけにTVや冷蔵庫もついていて部屋も奇麗。重い荷物をやれやれと降ろして、夕食にと外にいく。しかし田舎町だからだろうか、レストランといったものがまったく見当たらない。地元の人御用達のような大衆食堂で食べることにした。もちろんメニューはすべてタイ語で、まったくわからない。おまけに言葉も英語がまったく通じない。こういう時はと、持ってきたタイ語の本を取り出して「お勧めの食事はどれ?」と聞いてみた。
 出てきたのは、トムヤムクンの魚バージョンとスペアリブにニンニクを和えたものに白ご飯が大盛りで、ミネラルウォーターが2L出てきた。量も多くお勧めなだけあって味もかなりいい。かなり満足。さて会計の時にまたまたびっくり!全部で150バーツ(約460円)目を疑った。これだけの量だとバンコクなら400バーツはするだろう。タイの田舎町なら宿泊代、食事代、諸経費すべて込みでも一日500円で生活できるかもしれない。なるほど、日本から来た若者達がタイで沈没(埋没)してしまうのも無理からぬことなのかも。